認定理学療法士試験2020のためのまとめです。
今回は
「科学と倫理」
引っ掛けどころ満載の分野ですね。
認定理学療法士試験2020に向けてのまとめ「科学と倫理」
医学の流れ
ヒポクラテスの誓い
- 無危害の原則
- 恩恵の原則
- 正義の原則
- 守秘義務
「正義」は「黙って」「危害」ではなく「恩恵」を与えよう
素晴らしい考えだが、「医師中心」の考えなので、
「パターナリズム」医療を拡大したと批判的な見解もある
その後、「ベルナール」の「実験的医学序説」により、経験→実験の考えが進み、第二次世界大戦のころに「医学研究」が大幅な進歩を遂げる。
が、「人体実験」などの非人道的行為が批判され、
1964年に「ヘルシンキ宣言」
科学的観点からだけでなく、「倫理的な観点」からの妥当性が必要とされるようになった。
- 全ての人間に対する尊厳を深め、健康と権利を擁護する基準に従わなければならない
- 実験手続きの計画書には、考察・論評・助言を添えて、特別に指名された「倫理委員会」に提出しなければならない
- 医学研究は、対象者の自由意志による「インフォームド・コンセント」をできれば「文書」でえなければならない
- 研究は、「ネガティブな結果」も公表されなければならない
患者側中心の考えへ「患者の権利に関するリスボン宣言」
消費者中心の考えへ世の中が進む中、
医療も「患者中心の考え」へ
主語は利用者の「リスボン宣言」により、チーム医療が必然となった。
患者中心の考えは、
- 病気へのレッテル貼り防止
- 個人情報保護(生存している個人に限る)
へと拡大していく。
倫理学の考え方
倫理学は「どこを中心に捉えるか?」が大切
基本理念は「人間とは理性的な存在である」ということ
「ヒト」と「人格」を区別して考える。
「人格概念」を前面に出す立場が「パーソン論」と言われ、
欧米の生命倫理に関する議論の中心理念となっている。
「人格」を特徴づけるのは、自己意識・理性・道徳・感覚
「ヒト」=生物学的概念を中心とするのは「日本人」
「人格」=人間を固有な存在として認知するのが、欧米諸国。
脳の死? or 心臓が止まるか? 概念に近い感覚。
日本人は、「生まれつきの性質と形ある身体」への意識が強い。
「形式主義」「マニュアル偏重」
のため、「他人からどう見られるか?」の考えが強い。
それが、「障がい者の社会復帰」を困難にしている理由の一つ
価値観の背景に
- 欲望
- 利害(利益追及)
- 序列
- 無欲
があり、「無欲の心理」が倫理的と言われている。
医療の倫理はどうだろうか?
医療倫理の変遷
「健康とは?」
・完全に良好な状態
という解釈であると、
「病人」「高齢者」などの弱者への蔑視・差別の増長となる。
ノーマン・ダニエルズが「健康の正義論」で
- welfareへの機会を守る
- 社会的要因による不公正な健康格差は不正義
- 健康ニーズの合理的な分配の説明ができるようにする
と明記。
「医療倫理」から「生命倫理」への転換。
背景として
- 高齢者の増加
- 慢性疾患の表出
- 植物状態患者の増加
さらに、「環境倫理」への発展
- 自然の生存権
- 世代間倫理
- 地球全体倫理
となっている
医療事故と医療職の責任
我々「理学療法士」は、国家資格であるため、
「民事責任」だけでなく「行政上の責任」も担わなくてはならない。
最善の「注意義務」を要求されるが、それは
「診療当時の臨床医学の実践医療水準」
であるため、「不勉強」であると裁判に負けることとなる。
まとめ
やはり医療の流れというところは抑えていた方がいいですね。
ヒポクラテスから人体実験、その否認と患者中心の考えへ。
さらに「人」から「社会」、「地球全体へ」です