重い腰を上げ、「認定理学療法士」取ることにします。
今まで取るつもりはなかったのですが、
どうやら「理学療法士」として働く上では取っておいたほうが良さそう…
今、理学療法士になった人は取りやすいのですが、
私のように中途半端な年代だと取りづらい…
とりあえず、自分のまとめのために「共通問題」からまとめていきます。
協会が目指す専門・認定理学療法士の役割 ー科学と倫理ー
半田会長の講義です。
感想は、
「実に面白かった」
私が新人の頃の「新人教育プログラム」
正直眠気との戦い(ほぼ惨敗)だったので、協会のこういう講義は期待していませんでした。
それではまとめていきます。
医療倫理は「ヒポクラテスの誓い」の医師中心から患者中心へ
医療倫理の根底は
「ヒポクラテスの誓い」
医師の倫理・任務などについてのギリシャ神への誓いです。
この「医師の」というところがポイントではないでしょうか?
現在の「医療倫理の原則」は
- 自律尊重
- 無危害
- 善行
- 正義
の4原則となっています。
ヒポクラテスの誓いは、「医師の誓い」なので、
「自律尊重の原則」が抜けていました。
その結果、
パターナリズム医療の拡大(医師からの絶対的な命令)
を作ったと否定的な意見もあるようです。
ヘルシンキ宣言により、倫理的な観点の導入
ヘルシンキ宣言(1964)以前は、
「人体実験」を行なって、治療学を蓄積してきました。
*医学の大幅な進歩に貢献
それが、ヘルシンキ宣言によって大きな舵を切ります。
「倫理的な観点」
が導入されます。
ヘルシンキ宣言の内容を抜粋すると
医学研究は、全ての人間に対する尊敬を深め、その健康と権利を擁護する基準に従わなければならない
ヘルシンキ宣言 序言
実験手続きの計画書は、考察・論評・助言を添えて、特別に指名された倫理審査委員会に提出しなければならない
研究は、対象者の自由意志によるインフォームド・コンセントをできれば文章で得なければならない
ネガティブな結果もポジティブな結果と同様に刊行または他の方法で公表されなければならない
すべての医学研究のための基本原則
このように、医学の発展のための研究に
「倫理観」
が加わりました。
そこに「患者側の権利」が加わります。
患者の権利に関するリスボン宣言(1981)が消費者運動の流れから生まれる
11項目の権利からなるのですが、すべて
主語は利用者
そこからさらに、
- 疾患名でのレッテル貼りを予防する流れ
- 個人情報保護法(生存するもののみに有効)
へと時代は移り変わっていきます。
倫理学の考え方と「文化」による違い。日本人の本質とは
倫理学の基本理念は
「人間とは理性的存在」
その中で、「人格」という概念を前面に出すのが「パーソン論」
欧米の生命倫理における中心理念です。
パーソン論で有名なのが、Engelhardt
ヒト(human):生物学的な概念
人格(person):人間を固有な存在と認知
を区分しています。
「精神」と「カラダ」を切り離す欧米的な考え方です。
人格(person)を特徴づけるのは、自己意識・理性・道徳・感覚の4つとしています。
日本人の考え方とは異なります。
日本人的な発想は
- 自然のまま(生まれたまま)という価値観
- 形式主義、マニュアル偏重主義
「他の人がどう思うのか?」
というのを気にしすぎてしまうので、それが
障害者の社会復帰を困難にしている一つの理由としています。
医療倫理の変遷
医療倫理の変遷に伴って、問題が生じてきます。
患者側の権利が主張されるようになった結果、「裁判・警察」の介入が増加
- 医療提供への逡巡
- 先端医療の停滞
という本末転倒なことが生じてきてしまいました。
- 規範的予期類型(〜べきだ):法・政治・行政・メディア
- 認知的予期類型(〜だろう):医療・経済・学術・テクノロジー
健康に、「正義」「平等」「説明責任」の概念が入り、
医療倫理 → 生命倫理へと変化していく事になる
生命倫理(bio ethics)から環境倫理へ
背景に先端医療技術の進歩がある
- 高齢者の増加
- 慢性疾患が医療の前面に出てきた
- 植物状態の患者の増加
さらに、環境倫理学へと発展
- 自然の生存権(人間のみでなく、生物・生態系・景観まで)
- 世代間倫理
- 地球全体主義(個人よりも地球の生態系を維持することを重視)
このように、「倫理」の適応範囲がどんどん拡大します。
医療事故と科学・倫理
我々、「国家資格」を持ったものは、
- 刑事責任
- 民事責任
だけでなく
- 行政上の責任
も課せられます。
「注意義務の水準」として、
危険防止のための最善の注意義務を要求される
*注意義務の基準は、その診療当時における臨床医学の実践医療水準(最新)
つまり、
常に勉強していかないと、注意義務を怠ったとされるわけですね。
まとめ
- 医療倫理は、医師中心から、ヘルシンキ宣言・リスボン宣言により患者中心へと移行
- 医療倫理は、「正義」「平等」などの概念が入り、「生命倫理」へそして「環境倫理」へ
- 「国家資格」には「行政上の責任」も課せられ、実践医療水準を満たしている必要がある